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契約、泣き寝入りしないルールへ ネット購入や敷金も

 日常生活に欠かせない「契約」のルールが、約120年ぶりに見直される。法制審議会の部会が26日、民法の債権法部分を抜本的に改正する方針を大筋で決めた。時代に合わせて消費者を守る視点が重視された。当初は反発していた経済界も、対策を急いでいる。

■ 債権法、明治以来の全面改正へ ネット時代の消費者保護
 北海道の40代女性は8月、インターネットで航空券を3人分購入した。数カ月先のチケットで計2万円ほど割安だった。だが、予定が変わって2人分に変更しようとしたところ、一切認められなかった。約款には「代金を一度振り込むと、キャンセルはできません」。女性は、約款を読まずに購入していた。
 インターネットで買い物をすることが一般的になるなか、契約の最後に示される約款をめぐるトラブルが増えている。約款の量は膨大なことが多く、利用者が読み飛ばして契約してしまうからだ。

 九州地方の40代女性は、スマートフォンの紛失を補償してくれる保険に入った。月2千円で家族全員のスマホが対象になると聞き、「お得だ」と思った。ところが、夫がスマホをなくして問い合わせると、「4月から家族の方は対象外になった」。そんな変更は聞いていないと抗議すると、「『契約内容を変更することがある』と約款に記載しています」。

 この日の最終案は、こうしたトラブルを防ぐため、民法に約款の規定を設けることを求めた。

 最終案については、交通事故の被害者遺族でつくる団体も「現在の不当な状況が少し改善する」と評価した。賠償額を算出する際に使われる法定利率が、5%から3%に引き下げられ、これによって補償額が増えるからだ。

 大阪府豊中市の上田育生さん(51)は13年前、母親(77)が交通事故で高次脳機能障害を負い、介護が必要になった。保険会社と裁判で争い、認められた損害賠償は1億2千万円。法定利率が3%であれば、もっと高額になるはずだった。上田さんは「低金利の時代に、5%はおろか3%の根拠も分からない。家族の悲しみや怒りを考えれば、適正さを求めるのは当然」と指摘する。
 また最終案は、借金をする際の「連帯保証人」のあり方の見直しも求めた。親切心で保証人になり、想定外の借金を抱えて自殺するなどの問題があるためだ。第三者の個人が中小企業などの連帯保証人になろうとする場合は、公証人との面談を義務づけ、「リスク」をきちんと理解しているかを確かめる。(北沢拓也)

■企業も対応へ準備
 最終案がまとまったのを受けて、企業は法改正に向けた準備を進める。

 交通事故の被害者らが損害賠償を受ける際に使われる法定利率が改められるのも、その一つ。保険金を払う大手損害保険会社は今後、保険金の計算システムなどを改良する。

 法定利率は、事故に遭って働けなくなった人への賠償額を計算するときに使われる。いまは5%だが、法改正で3%に引き下げられる見通しだ。

 たとえば、事故で亡くなった人が、本来はあと40年働くことができたと想定される場合、賠償額はその間に得られるはずだった収入をもとに算出する。収入の合計額から、40年分の利息を差し引いた額が賠償金になる。このため、法定利率が下がれば、差し引かれる額が減り、遺族が受け取る賠償金は増える。

 生涯の平均月収が約41万円で、扶養家族が2人いる27歳男性が亡くなったときは、法定利率が5%から3%に下がると、賠償額は約2千万円増える。

 損害保険業界は当初、賠償額の増加に加え、システムの更新費用などがかかることから、法改正に反発していた。だが、法制審の部会は、超低金利が長引いている現状を踏まえて、法定利率の引き下げを決めた。

 ただ、対応を急ぐ各社が、負担増を契約者に転嫁するおそれもある。ある大手損保幹部は「結果的に賠償額が増えれば、保険料を上げることになるかもしれない」という。

 大和総研の堀内勇世主任研究員は「法改正で、さまざまな企業に新たな手間や時間、費用が生まれる。多くは企業努力で吸収するだろうが、契約説明の時間が増えるなど、消費者にとっての負担が増えることもあり得る」と指摘する。(杉浦幹治、吉田拓史)

■最終案の主なポイント
●お金の貸し借りの時効の統一
 原則5年。ただし、貸した側が存在を知らなかった場合は10年

●約款に関する規定を新設
 契約成立後の一方的な内容変更を禁止。消費者に著しい不利益となる内容は取り消せ

●意思能力の規定を新設
 認知症の高齢者など、判断力が弱い人が結んだ契約を無効にできる

●誤解していた契約は取り消し可能に
 消費者が製品の品質などをきちんと理解していなかった場合に

●欠陥商品の修理、交換、減額などの請求
 買い手の請求権を法律に明記

●敷金のルール
 経年劣化の修繕は、借り主に義務がない

●連帯保証人の届け出義務
 個人が中小企業の連帯保証人になるには、公証人との面談が必要に。その企業の役員や主要株主、事業に携わる配偶者は例外

●殺傷事件などの損害賠償請求権を長期化
 被害に遭ってから20年、賠償請求権を知ってから5年に

●法定利率を引き下げ、変動制に
 現行の年5%を3%に。3年に一度、市場金利を参考に見直しを検討

●債権譲渡禁止特約の緩和
 中小企業が資金調達をしやすくするため、将来見込まれる収益を第三者に譲りやすくする

との報道がありました。
朝日新聞8月27日03時26分

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