不動産の売買
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不動産の所有権も、民法上は契約のみで移転します。
例えば、Aさんが、自分の所有する甲土地を売りたいと考えており、Bさんが、甲土地を買いたいと思った場合、Aさんの「Bさんに甲土地を売ります」と、Bさんの「Aさんから甲土地を買います」という約束だけで、甲土地の所有権はBさんに移ることとなります。では、登記は何のためにするのでしょうか?
さきほどのAさんが、実は非常にお金に困っていたとしましょう。
AさんとBさんとの約束では、契約成立の3日後に甲土地の代金1000万円をBさんがAさんの口座に振り込み、契約成立から1週間後に、甲土地の引き渡しをすることになっていました。
ところが、甲土地の引き渡しの前日に、Aさんのもとに甲土地を買いたいというCさんが1000万円を持参して現れました。すぐさまAさんは、Cさんとも甲土地の売買契約を交わしました。そして、Cさんに、登記をCさん名義にするための書類一式と、甲土地を引き渡し、Cさんはすぐに登記申請しました。
次の日、甲土地の引き渡しをうけるため、BさんはAさん方を訪れましたが、Aさんはいなくなっていました・・・
この場合、AさんとBさんとの売買契約も、AさんとCさんとの売買契約も有効に成立していますが、甲土地は、後から買ったにもかかわらず、登記をしたCさんのものになってしまいます。
不動産登記は「対抗要件」といわれ、BさんとCさんの関係(対抗関係といいます)では、登記を備えているものが勝ちとなるからです。
BさんはAさんとの契約を解除し、損害賠償を請求することができますが、Aさんは行方不明、振込先の口座もすでにからっぽになっていた・・・となると、Bさんは払ってしまった1000万円を回収する事が難しくなります。
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このようなことを防ぐため、実際は、取引の場に司法書士が立会い、所有権移転登記に必要な書類がそろっていることを確認した上で、買主が売買代金を支払い、司法書士はその足で法務局に売買登記の申請をします。
このようにして、不倒産売買という高額取引について事故が起こらないようにするのです。
不動産の贈与
自分の所有する不動産を、誰かに贈与したいとお考えの方も多くいらっしゃると思います。売買との違いは、売買は対価が伴うもの、贈与は対価が伴わないものといえます。簡単にいえば、贈与とは「プレゼント」ということになります。
不動産という高額な財産の贈与となると、贈与税など、思いのほか高額の税金がかかることがあります。贈与したいと思ったら、まず発生する税金について検討する必要があるといえます。
ある一定の条件下においては、税金の控除が受けられる場合もあります。
税金に関してはこちらもごらんください。
税金に関して検討の上、贈与することにしたら、贈与の登記を申請しましょう。
登記は対抗要件ですので、もらう人の権利の保全しておくことで、のちの紛争の防止となります。
- 長年連れ添った妻に自宅の名義を移したい
自宅の土地・建物のうち、固定資産税評価額2,000万円の建物の1,000万円分を妻に贈与する。
→持分移転登記の申請をします。
現状 夫の単独名義→夫2分の1、妻2分の1の共有名義に
※贈与税の特例があります。
贈与税の配偶者控除
- 遺言を残しても相続人間でもめそう。生きているうちに贈与することで、既成事実を作っておきたい。
- 相続税対策として相続財産を減らしておきたい。
- 土地を長年借りていたが、地主さんから贈与するといわれた。