自己破産とは
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自己破産とは、どうしても借金が返せなくなってしまった人のために、裁判所が借金を免除してくれる手続だと思ってください。
裁判所に破産手続きの申立てを行い、免責許可決定(借金を免除する決定)を得ること(確定すること)により、初めて借金から解放されます。任意整理でもとても借金を返しきれない状態のことを「支払不能」と呼びますが、この支払不能の状態になってしまったら、裁判所に破産の申立てをすることを検討しましょう。破産手続きは債権者から申立てることもできますが、債務者自らが申立てることもできます。後者のことを一般に「自己」破産と呼びます。
さて、「自己破産」は、そもそもコトバの響きが強烈ですし、できれば一生関わりたくないものですよね。
しかし現実に目を背けても借金はなくなりません。破産制度は国が設けてくれた救済制度です。今後の人生をよりよいものにするために、支払不能の状態になった場合は早めに再スタートをした方がよい場合が多いのも事実です。
制度上、破産手続きは「同時廃止」と「管財事件」のふたつに分けられます。
同時廃止とは、自己破産の手続きを申し立てる方が大きな財産を持っておらず、下で説明する免責不許可事由にも該当していないような場合など、財産をいっさい換価処分せず破産の開始決定と同時に破産の手続きを終結させてしまうという手続きです。
管財事件とは、自己破産の手続きを申し立てる方が大きな財産を所有しているような場合や下で説明する免責不許可事由に該当する可能性があると考えられるような場合、裁判所が破産管財人を選任し、自己破産を申し立てた方の事情について破産管財人が調査を行う手続きのことです。破産管財人は債務や財産について調査を行い、換価できる財産については処分を行って、すべての債権者に対して公平に分配するなどの手続きを行います。
同時廃止であれば手続きにかかる期間が短くすみますし、費用も管財事件に比べて安くすみますが、管財事件になるとある程度の時間とお金がかかってしまいます。
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自己破産の最大のメリットは、なんといっても借金がなくなるということでしょう。
何年・何十年・場合によっては一生かかっても払いきれない借金がゼロになります。「お金を貸してくれた方々に悪いのでは・・・」という声をよく聞きますが、限界まで頑張ったのであれば、自分を責めることはありません。
一方、自己破産にはデメリットもあります。
デメリットと感じるかどうかも人それぞれですが、主に次の点に注意してください。
- 官報・破産者名簿に掲載される。
- 職業や資格の制限を受ける。
- 一定の財産を失う。
- 今後7年間、再び自己破産することができない。
- 保証人に迷惑をかけてしまう。
などです。
また、破産の申立てをすれば必ず借金が免除されるというわけではなく、免責不許可事由に該当しないことが、借金免除の条件です。
破産の手続きにおいて裁判所は、どのような理由で借金をしたのか、借りたお金を何に使ったのかといった点について詳しく調査をします。免責不許可事由とは、簡単にいうと「このような債務者の借金は免除しませんよ。」と裁判所が判断する事情のことです。
よく問題になる免責不許可事由としては
- 裁判所に対してウソの申告をした。
- 一部の債権者に対してのみ返済を行った。
- 借金の原因のほとんどがギャンブルやキャバクラである。
などです。
このほかにも、細かく破産法で決められた免責不許可事由があります。
私の経験上、まったく免責不許可事由のない方はあまりおりません。みなさん少なからず、後ろ暗い事情がちょっとはあるものです。しかし大切なのは、ここでウソをついてしまうとそれこそ免責不許可事由にあたってしまいますので、正直に申告することです。
というのも、免責不許可事由があったら必ず免責(借金免除)がされないというわけではなく、その判断は裁判所(裁判官)に委ねられているからです。一生懸命事情を裁判官に説明しましょう。
また、自己破産しても税金や社会保険料、公共料金などは免除されないことに注意してください。
- 相談の際は、隠し事をしないこと。
- 司法書士に依頼をしたら、すべての債権者に対する返済を絶対にしないこと。
- 家計の管理をしっかり行うこと。
自己破産のメリット | 自己破産のデメリット |
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